委員長挨拶(2021)

男女共同参画推進委員会委員長として

男女共同参画推進委員会 委員長 市川 温子

 2018 年度より日本物理学会男女共同参画推進委員を務めています.男女の区別なく共同参画できる社会の方が,そうでない社会よりもずっとよいとは思いますが,その実現に努力する時間は人並み程度にして,それよりも研究をしたり家族と過ごしたりしたいので, この委員に就くことを強く要請されたこと 全く納得いきませんでした.女性会員数が少ないのに,委員会の男女比が 1 : 1 となっているためにこうなってしまっています.2020 年度からは,ほとんど選択の余地なく委員長となりました.これまで委員長は理事となる慣習となっておりましたが,月に一度の理事会への出席や男女共同参画以外の担当を兼務する必要があり,今回,私は理事になることは固辞いたしました.理事も女性の比率をある程度は確保するために,男性会員よりも女性会員はかなり高い確率で理事就任のお誘いがあります.理事の方々の多大な努力で学会が成り立つことに感謝していますし, 今,こうして研究できているのは,多くの女性(だけには限らないですが)研究者の先輩方の努力によるものなのだからお前も努力しなさい,というのも承知しています.が, その努力は本来,性別に関係なく求められるべきだと思うのです.
そして,今回,委員長と言うことで巻頭言を書くことになりました.せっかくの機会ですので, 皆さんの目に入るように手書き風フォントで一つの問題点とそれを解決するための提案を書いてみました.主旨としては,女性にせよ男性にせよ,子育てや介護をしながら仕事も 頑張るためには,実質どちらかの親が子育て全般を担う,いわゆるワンオペ育児,そしてワンオペ介護を可能な限り回避できるようにすべきということです. 全国の大学や研究所をまたいで勤務先を選べるフェローシップ制度を設けることを提案しています.すべての部門や専門分野でフェローシップ制度を創設することが難しい場合は, 理学部だけ,あるいは物理専攻だけでも実施することができれば,若者にとっても,たいへん魅力的な職場(分野)として人気が出て活性化につながると思います. この案がよいかどうかはともかく,ワンオペ育児,ワンオペ介護は,今後,日本においてますます大きな問題になると思います. ぜひ,会員諸兄諸姉におかれましては,解決に向けてご一考いただけるとありがたいです.

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(日本物理学会誌76巻8号 巻頭言より)