男女共同参画ホームページの開設にあたって

- お互いにたよりがいのある物理学者を目指そう -

2003年1月 男女共同参画推進委員会 委員長 坂東昌子

はじめに

 このたび、「男女共同参画」のためのホームページを開設することになりました。日本物理学会に男女共同参画推進委員会 が設置されたのは、2002年3月国際的な規模で開かれた会議「Women in Physics」(開催地がパリなので「パリ会議」と通称)を契機にしています。
 2001年9月に、この会議の主催団体である International Union of Pure and Applied Physics(国際純粋応用物理学連合・IUPAP)から日本物理学会と応用物理学会に参加要請があったのです。日本物理学会では、この会議に参加する ために「パリ会議準備委員会」を組織することとし、北原和夫先生(国際基督教大学(ICU)、2003年度日本物理学会会長)が委員長になって自ら指揮を とってくださいました。また、応用物理学会では、これをきっかけとして「男女共同参画委員会」が設けられました。
 このパリ会議準備委員会の発足 にあたっては、それまで、女性が家庭の事情等に圧倒されることなく物理学者として思う存分生き生きと研究生活を続けられるように、との趣旨でインフォーマ ルに開かれていた「女性物理学者の会」に参加された方々の熱心な話し合いと、IUPAPの委員であられる福山秀敏先生(東大物性研究所)のご努力がありま した。
 そして2002年3月のパリ会議を経て、この精神を受け継ぎ、正式に日本物理学会の中にも男女共同参画推進委員会が発足しました。この委員会のメンバーは、委員会規則第3条に明記されているとおり、男性女性同数で構成されています。 

新しい視点に立って、新しい未来を模索したい

   日本物理学会での女性研究者問題への取り組みはかなりの歴史をもっています。最初は「婦人研究者問題」とか「女性研究者の地位向上のために」といった発 想で取り組まれていました。そうした時代から「男女共同参画」という理念に変わってきた流れには、感慨深いものがあります。
 この変遷には理由があります。
 1つには、女性が虐げられ社会的に低い地位に甘んじている状況に対して働きかける時代から少しばかり抜け出し、女性が男性をパートナーとして、「ともによりよい未来を目指す」という視点に移ってきたという時代の流れです。 
  もうひとつは、これと関係するのですが「女性が生き生きと研究できる環境は、男性にとっても望ましい環境である」という認識が広がってきたのだと思いま す。したがって、物理学会の中に男女共同参画推進委員会というものができたのは、こういう時代に、物理学会の中でなにができるのか、どう未来を切り開いて いくのかという気持ちの現われなのだと思います。 
 しかし、それにしても、まだまだ世界的に見て遅れをとっているわが国の学会レベルの組織で、 このような新しい動きがでてきたのはごく最近です物理学会の会員の皆様にも、今までほとんど女性研究者に接したことのない方も多いでしょう。こんな状況の 中で、物理学会では、できるだけたくさんのかたがたの同意を得ながら、なにをなすべきか、何が問題なのかごいっしょにじっくり考えながら、活動していきた いと思っています。 

「今後の取り組み予定」について

 今後、取り組む予定の項目は、同じレポートの後段にあります。この2年間私たちは、「パリ会議準備委員会」を中心に、物理学会会員の研究環境・家庭環 境・職場の状況などのアンケート調査とその結果に関する分析を行い、また2001年秋の各分科会を通じてパリ会議にむけたシンポジウムを行い、更に、 2002年春の年次大会ではパリ会議の報告とアンケート結果の報告を行い、これからの方向を探ってきました。ここに挙げた「今後の取り組み予定」は、それ らの議論をまとめ、しかもアンケートの結果からわかった実態とも照らし合わせて、一応の原案として提案している方針です。 
 これをもとに、新し く始まった男女共同参画推進委員会で議論を進め、会員との意見交換をしながら、同意を得たものから行動を起こしていこうということになっています。この中 における各項目については、皆さんの合意を得たものはすぐに、そして議論のなかでよりよい案が出れば改良しながら、物理学会としてできることを実行してい きたいと考えています。
 このホームページを通じて会員のみなさんのご意見をしっかりと取り入れ、交流しながら議論が進められるように希望しています。
 当面は、年次大会や分科会の開催される度にご報告をさせていただき、議論をする機会を作るつもりです。また、その他いろいろな場面でのコメントを歓迎します。 
 よろしくお願いいたします。